第14章 心機一転とお友達…?
『あれ?でも今の話の内容だとまるでグラントリノさんって人は緑谷くんだけを指名しているような…』
言はハッとしたようにオールマイトに疑問を投げかける。
「それはだな!グラントリノが君を指名したのには事情ががあるらしい!」
『事情…?』
「私も詳しい事は聞いていないのだがグラントリノが君に紹介したい人がいるそうでね。だが紹介したい人はプロヒーローでは無いため代わりに彼が君を指名したと言うわけさ!」
オールマイトから話を聞いて納得したのか手を顎にあてながら首を縦に振る言。
しかし、彼女は先日の体育祭でヒーローになると志してから多少なりとも焦りを感じていた。他の人達よりも遅いスタート。自分は今から「他の人達の倍頑張らなくてはいけない」という気持ちがあった為プロヒーローでないならその指名は受け入れ難いものであった。
『なるほど…でもプロヒーローでないのなら他の有名な事務所に行った方が有意義な…』
そして考えた結果、言は折角のありがたいお誘いだったが他の有名な事務所に行った方が自分の為になるだろうと思い指名を断ろうとした時オールマイトが待ったをかける。
「いや!!!確実に行った方が良い!!グラントリノが自らが紹介したいと言う人だ!教師としてこんなことを言うのもあれだが君はここに行くべきだ!!!」
言はオールマイトの勢いに押されて少し尻込み、大きく目を見開く。そしてオールマイトは気がついたように言から離れ、眉を下げた。
「あ!!いや、別に強制と言うわけではないんだ!そうだよな…これは私が決めるべき問題ではないからな!君の好きにしてくれて構わな…」
『行きます』
そんな慌ただしく先程の言葉を取り下げるオールマイトの言葉を遮るように言が口を開いた。
「え?」
『オールマイト先生がそんなに推すんですものそれは私が今指名されているどの事務所よりも確実に良いと言うことですよね。なら行きます、行かせてください!!』
困惑するオールマイトを横目に言はそう言って笑顔を見せた。