第13章 綺麗なアノコ
『すごい!すごい!』
目の前で獲得した景品を手にする上鳴を見て拍手を送る言。そんな彼女の対応に気を良くしたのか上鳴は鼻高く「それほどでもねぇけどな」とドヤ顔で返した。
「上鳴おめぇ、手本見せるこの1回で景品取っちまうとかプロかよ…」
「ゲーセンの神とでも呼んでくれたまえ…んじゃこの人形は言にやるよ!」
『いいの?』
「取ったのはいいけどこんな可愛い人形俺の家には置けねぇから言が貰ってくれ!」
『ありがとう…!』
そう言って笑顔でお礼を伝え、上鳴から受け取った兎の人形を抱きしめた。そんな人形を抱きしめる可愛らしい彼女の姿を見て切島と上鳴の2人は頬を赤らめた。
「可愛い子+可愛い人形の組み合わせ最高」
真顔で語った上鳴は切島に向けて親指を立てた。
『私もやってみたい!』
「おお!やれやれ!!」
『えっと…100円を入れてレバーを動かすっ!欲しい物の上空に合わせて…ボタンを押す!』
UFOキャッチャーの台の前に立ち、言は先程上鳴に言われた事を実践する。操作は慎重ながらも上手く景品の上ど真ん中にアームを移動させた。
「おっ!!結構いい線いってんじゃね!?」
『頑張れっ、頑張れ』
しっかりと景品を掴んだアームはゆっくりと景品取り出し口に向かって移動し始める。クロアは台の前で手を握りながら景品の行方を見守った。
「爆豪にはもったいねえなぁ…」
そんな無邪気な言の姿を見て眉を下げ優しく微笑んだ切島の呟きは誰の耳にも届くことなくゲームセンターの雑音に飲み込まれていった。
『やった!見て見て鋭児郎、電気!取れたよ!!』
景品が取れたのか取り出した人形を抱えて言は満面の笑みを見せる。
「…すげぇなクロア!!UFOキャッチャーの才能もあるんじゃねぇの!?」
天真爛漫な彼女の姿を見て一瞬言葉を詰まらせた切島だが何事も無かったかのように言に褒め言葉を送った。