第13章 綺麗なアノコ
その後も切島達はピュアセレブお嬢様の言に「あれは何?これは何?」の質問攻めを受けては「試しに遊んで見るか?」を幾度となく繰り返した。でも彼らは面倒臭いや早く帰りたいなど一切考えもしなかった。寧ろこの時がずっと続けばいいなと思う程だった。けれども、終わりの時間は必ずやって来る。
『鋭児郎、電気、今日はありがとうねすっごく楽しかった』
茜色に染る空を背景に可愛らしい人形を抱えた言が2人に向けてお礼を言った。
「俺達もすげー楽しかったぜ!新しい言の一面も見れた事だし?帰ってもはしゃぐなよ〜!」
『さ、さすがにずっとははしゃがないよ…!』
言をからかう上鳴は楽しそうに笑顔を向け、からかわれた言は恥ずかしそうに頬を膨らめた。関わりとしてはただのクラスメイトだった上鳴とは、この1日を得てこんな冗談を言い合える仲にまでなった。
「また行きたくなったらいつでも誘えよな!!」
『うん、そうする。じゃまた学校で。今日は本当に楽しかった』
遠回しにいつでも遊ぼうと言った意味合いを込めた、嬉しい言葉を伝えてくれる切島。言は嬉しさを噛み締めるように口角を上げて返事を返し、2人に別れの言葉を告げて歩き出した。
「おう!!じゃあな!」
「気をつけて帰れよな!!」
『うん』
背を向けながらも手を振り返し、3人は各々の家にへと帰って行った。こうして短くも楽しい時間は終わりを告げた。