第13章 綺麗なアノコ
切島は強く心の中で彼女が断ることを願ったがそんな思いなど伝わるはずもなく、飄々と上鳴の頼みを受け入れた。
「まじ!!サンキューな!」
『電気…であってるよね??』
「あぁ、合ってるぜ!これからはそう呼んでくれ!」
『わかった』
大きく肩を落として落ち込む切島とその横で馬鹿みたいに喜ぶ上鳴。そして上鳴は落ち込む切島の肩を掴み言には聞こえない声量で切島の耳元で囁いた。
「切島ぁ…これよぉ爆豪に明後日学校で自慢してやろうぜ!あいつ言の事気になってるみたいだしよ!」
「そうなのか…?!」
「フハハハ!才能マン爆豪め!今まで散々俺らをコケにしてきた罰だ!とくと味わうがいい!」
悪人面を貼り付けた上鳴がそう言って邪悪に笑った。そしてそんな彼とは別に切島は落ち込んでいたことなどすっかり頭から抜け落ち、爆豪が言に好意を寄せていると言う出来事に驚きを見せた。
『2人共なんの話をしているの?』
コソコソの話をしている2人を見て不思議に思った言は首を傾げてそう聞いてきた。
「いやー!今からどこ行こうかな〜って。な!切島!!」
「お、おう!」
到底言に聞かせられる話ではなかったので上手く嘘をつき、話題をすり替えた。
『それならお腹も空く時間だしご飯にでも行く?』
「おっ、いいね〜!」
言の提案に賛同する上鳴。
「それならここの近くにあるショッピングモールにでも行くか」
『ショッピングモール?』
切島の提案に言は疑問符を打った。どうやら彼女にとってショッピングモールと言う単語は初めて耳にする言葉だったらしい。
「え?!言まさかショッピングモール知らねぇのか?!」
『あまり外には出ないし、必要な物は全部メイド達が準備してくれるから…』
「流石セレブ…」
自分たちとは全く違う世界に生きる言に2人はごくりと息を飲んだ。
「なら言には初ショッピングモールを楽しんでもらいますか!」
そうしてノリノリな上鳴を先頭に道を案内をしてもらい、ショッピングモールにへと移動した。