第12章 雄英体育祭決着
言の突然の言葉に選手や先生観客達は彼女に視線を向ける。
『私は今、この3位という位置に立っています。でも本来ならば私はこの位置に立っていい人物ではないのです。私はこの体育祭……最初は”わざと負ける”つもりでいました』
そんな言の言葉に騒然とする選手と歓声。ざわざわとする中で心無い言葉も聞こえてくる。
───分かってる。このぐらい覚悟の上だ…!
『でも、”ある人”の言葉でそれは間違っている事に気がつくことが出来ました…本当にごめんなさい!!!』
言は今にも頭が地面に着くのではというぐらいに頭を深く下げる。そんな言の姿を見て選手や観客は黙って彼女の話を聞いていた。
『だからこそ…私は…今から一歩!前に踏み出さなきゃ行けません!この3位という地位に相応しい人間に…いえ…それ以上の素晴らしい”ヒーロー”になります!』
頭を上げた言は真っ直ぐと先を見つめ熱意の籠った言葉と共に右腕を上げる。そして上にあげた手で人差し指だけを立たせ
『だから、”私の事”を見てて下さい!!!』
言は大きな声でそう言った。数秒の沈黙。しかしその後スタジアムには溢れんばかりの歓声と拍手が響く。
「いいぞー!!」
「是非うちの事務所にこないかー!!」
「要は調子乗ってたの?」
「容姿端麗だしメディア向けにもいいな!」
「何アレ。ただ開き直ってるだけじゃん」
「そうかな…私はカッコイイと思う!」
そんな歓声と拍手の中には批判の声も混じっている。でもそんな声も全部含めて彼女の心に響き渡る。
「うん!君はきっと素晴らしいヒーローになれるよ言少女!!あらためて3位おめでとう!!」
そう言ってオールマイトは言の首にメダルをかけ、自身の胸に抱き寄せた。
「ハッ…今の時代これってセクハラにならない?!大丈夫かな!?」
『ふっ…ふふ。大丈夫ですよ!貴方のハグを嫌がる人なんかそうそういません』
言は右手の甲で口元を押さえながらオールマイトの焦る姿を見て花のように笑う。この瞬間、彼女の笑顔に心打たれた男性が多くいたらしくこの時からファンが多くできたとかそうでないとか。