第12章 雄英体育祭決着
「それではこれより!!表彰式に移ります!」
大輪の花が咲く花火ではなく音だけの花火が雄英高校上空に放たれて響き渡り谺響する。そして花火が打ち終わるとフィールドには選手全員が入場。また、3位以上の成績を納めた選手は表彰台に登壇していた。
「何アレ…」
「起きてからずっと暴れてんだとよしっかしまー…締まんねえー1位だな」
しかし”登壇した”、というよりも”拘束されている”と言う言葉が似合う選手が一名。今体育祭優勝者の爆豪勝己だ。
そんな彼の様子を見て耳のイヤホンジャックで爆豪を指す耳郎、その経緯を知る切島は顔を引きつらせながらそう口にした。他の選手達も彼ら同様に引き気味な顔を浮かべながら彼に視線を向けていた。
「〜〜!!!ッッ〜〜!!!」
爆豪は腕は鎖で繋がれ、口は猿轡を付けられた状態で表彰台に立っていた。
『こんな状態で表彰式やっていいのかしら』
あまりの異様な光景に言は手で口を押さえながら困った顔をしていた。
「3位には八百万言さんともう1人飯田くんがいるんだけど、ちょっとお家の都合で早退になっちゃったのでご了承下さいな」
(飯田さん…大丈夫かな)
───飯田さんは先程、自分のお兄さんがヴィランに襲われたと御家族から連絡を受けて早退してしまったのだ。お兄さんも心配だけど私は飯田さんの心持ちがとても心配だ。自分の家族がヴィランに襲われたなんて考えたくもない出来事だもの…