第12章 雄英体育祭決着
言はリカバリーガールから渡された経口補水液を体に流し込み息をつく。
『そういえば私、スタジアムの通路で倒れた筈なんですけど誰が保健室に…?』
「…警備のプロヒーローがたまたま通り掛かってここまで運んでくれたんだよ」
『そうだったんですね。そのプロヒーローのお名前は?』
リカバリーガールは”しまった”と心の中で考え机に目を泳がすと、机の上で開きっぱなしにしていたヒーロー雑誌が目に入る。そして雑誌を見て1番最初に目に入ったヒーローの名前をポロッと口にしてしまう。
「え…あー、ホークスだよ」
(ごめんね、ホークス…)
ホークスとは福岡を拠点に九州で活躍する地方ヒーローなのだが、18歳でデビューしてその年の下半期にはビルボードチャートトップ10入りを果たし、10代でトップ10に食い込んだ唯一のヒーローとして知られている。そして22歳にして、この間行われたヒーロービルボードチャートJP3位を獲得している期待の新生ヒーローだ。その雄英体育祭の警備すら担当していないヒーローに覚えもない恩を擦り付けてしまったことにリカバリーガールは申し訳なさを感じた。
そして同時刻に、九州で見回りをしていたホークスが大きなくしゃみをしたとかそうでないとか…
『ホークス…帰ったら調べてみますね!もしお会いになられたらお礼を伝えて下さい』
「あぁ…ちゃんと伝えておくね」
リカバリーガールは半分ヤケクソで言に返事を返した。その時、保健室の前に機械音が響く。リカバリーガールはその音を耳にして扉を開けると目の前には救護ロボがいた。そのロボが支える担架の上に横になっているのは先程まで決勝を戦っていた2人だ。
『爆豪さんに轟くん…!』
「また派手にやったもんだよ…」
左腕に怪我を負っている轟。他にも体中にかすり傷などが見られる。爆豪も見た限りは大きな怪我は見られずどちらかと言うと眠らされている状態のようだ。
『2人とも、お疲れ様』
言はそんな2人の姿を見て優しく微笑み担架の上で横になっている2人の頭を撫でた。
『では、リカバリーガール今から表彰式の準備があるので私はここで色々とありがとうございました』
言は爆豪・轟と入れ違いで保健室から退室。表彰式に出場する生徒控え室にへと足を向けた。