第12章 雄英体育祭決着
「「わぁぁぁ!!」」
『…んっ…』
壁越しから聞こえる大きな歓声に言はゆっくりと目を覚ます。
(また…保健室…)
ベットから起き上がりキョロキョロと周りを見渡すとベットの横にはリカバリーガールが立っていて、目が合うと激しい剣幕で声を上げた。
「目が覚めたかい。まったく!!水分を取りなさいと忠告したはずだよ!」
『ごめんなさい…』
言は眉を下げると同時に目を細めて怒りを露わにするリカバリーガールに頭を下げた。リカバリーガールも言の反省する様子を見て、長く息を吐いて気持ちを落ち着かせる。
「ついさっき決勝戦の決着が着いたよ」
『私、そんなに寝ていたなんて…どちらが勝ちましたか?』
「爆豪勝己だよ」
───凄いな、爆豪さんは…本当に体育祭で1位になっちゃった。それに比べて私は…
言がこの体育祭で何も出来なかった歯痒さに眉を寄せ唇を噛み締めていると、リカバリーガールが何処からか椅子を持ち出してその上に乗り言の頭を優しく撫でた。
「…あまり抱え込まない方がいいよ」
『えっ…』
「その顔を見ればわかるさ…確かにあんたは勝てなかった。負けたさ。でも、今あんたがする事はこんなところで悩むことじゃないだろ??」
リカバリーガールの優しい言葉に言は目を見開いて彼女に撫でられた頭をゆっくりと手で押さえ、ひと撫でする。
───そうだよ、さっき前に進むって心に決めたばかりじゃないか。
『…はいっ、ありがとうございます…!!』
リカバリーガールの優しさに胸の奥から熱い気持ちが込み上げてきて言はお礼の言葉を口にする時、声が少し震えていた。
八百万言───────
雄英体育祭 3回戦目敗退・ベスト4