第12章 雄英体育祭決着
雨が降り頻るステージの上では言と爆豪の攻防が続いていた。
「…お前の個性、体内の何らかの物質を使ってモノ出してんだろ」
『さぁ、どうかな』
頬に汗を垂らしながら爆豪に焦りを悟られないように曖昧な返事を返す。
「しらばっくれなくても分かってんだよ。お前が個性使う度に雨の威力が弱まってる。それにテメェの身体能力も少しづつ衰えてるだろ」
『…爆豪さんってほんと、言動の割に冷静だよね』
言は顔に流れる雨と汗を腕の裾で拭いながら爆豪の隙が無さすぎる分析につい笑いが零れてしまう。
『じゃあそろそろ決着つけようか』
そして気持ちを切り替えるようにそう言い放ち、爆豪目がけて勢いよく走り出す。そしてそんな行動を見た観客がざわめきだす。
「なんだ言!!?爆豪に向かって走ってるぞ!!」
「どうしたんだ言さん!?かっちゃんの間合いにわざわざ入りに行くなんて自殺行為じゃないか!」
「言はそんな愚策考えませんわ…きっと何か考えがあるはずです」
「わざわざ殺されに来たか!!」
自身目掛けて走ってくる言に向けて爆豪が個性を使い攻撃しようとする。
『[壁]!』
言は彼の攻撃を避けるように個性で壁を地面から出現させ、その勢いで上空に飛ぶ。
「こりゃすげぇ八百万言!下から出現した壁の勢いで上空に飛んだぁぁ!!」
マイクの実況と同時に盛り上がる会場。そして言が落下する方向には爆豪がいた。
「おいおい!言が落下する方向爆豪だぞ!?何するつもりなんだぁ?!」
「ハッ、上から来たら俺の餌食だろうがやっぱり舐めてんのかテメェ!!」
爆豪が右手を言に向けて個性を放とうとする。
「まずい!あれは麗日さんとの試合で見せた最大火力で爆発させるやつだ!!」
しかし言はそんな動揺の声を上げる観客たちとは反してニヤリと口角を上げる。
「あ゙?!!」
爆豪はそんな言を見て眉を寄せ、一瞬個性を使うのを躊躇したがそのまま放ち言の個性と爆豪の個性がぶつかり合う。そしてステージは大きな爆発音と共に煙に包まれた。