第12章 雄英体育祭決着
「Hey!体育祭も大詰めに近づいてきたぜ!次の対戦はこいつらだ!八百万言VS爆豪勝己!!」
両者がステージの上に登ると大きな歓声が上がる。そして言は爆豪と目が合う。
「おいポニーテールの妹」
『ポニーテールの妹…!?』
言は爆豪の口から発せられた言葉に全身に稲妻のようなものが走る。彼の顔を見る限り至って真剣なのでふざけて呼んでいるわけではないのだろう。そして彼は言を見つめながら口を開く。
「今回も手ぇ抜いたら本気でぶっ殺す」
『大丈夫…もうそんな事しないから』
爆豪の変なあだ名に困惑していたがその言葉を聞いて言は1度は彼に優しく微笑み、気持ちを直ぐに切りかえて顔を引き締める。
「さぁいくぜ!レディィSTART!!」
今までの戦いを見ている限り爆豪さんはやはりスロースターター。だから彼に持久戦を持ち込む人はいない。大抵は速攻を仕掛けて彼を倒そうとしていた。でも彼だってそれを理解した上で速攻を仕掛けられても臨機応変に対応出来るようにしている。一応元々の反射神経の良さとかもあるけど…だから無闇に爆豪さんの爆破範囲に入るのは危険。かと言って長期戦に持ち込む訳にもいかないだから私の考えた作戦は……
『ねぇ、爆豪さん知ってる?今日ってとってもいい天気なんだよ』
「ってめぇ!!何ふざけた事言って!!」
そう言って言はステージ上空を指さす。爆豪は完全に言が自分を舐めていると思ったのか怒筋をたてて、凄い勢いでこちらに向かってくる。
『[雨]』
そんな彼の姿を見て不敵な笑みを浮かべる。するとステージの上空に黒い雨雲が発生。次第にポツポツと雨が降り始め、最終的には飛沫をあげるほどの雨となった。
「おいおいマジかよ…八百万言!ステージ上に雨を降らせやがった!!」
「凄い…!言さんの個性はこんなこともできるのか!」
ステージ上に雨を降らせる私を見て会場からざわざわと驚きの声が聞こえてくる。
「おいおい…これは聞いてねェわ…」
『爆豪さんにはあんまり汗かかせたくないからすぐ決めるね』
胸の辺りで両手を合わせにっこりと笑うと爆豪も上等だとでも言わんばかりの顔を見せる。