第11章 互いが互いのヒーロー
「かちてえくせに……ちくしょう…敵に塩送るなんてどっちがフザけてるって話だ…俺だってヒーローに…!!」
「焦凍ォォ!!やっと己を受け入れたか!!そうだ、良いぞ!!ここからがお前の始まり!!俺の血をもって俺を超えて行き…俺の野望をお前が果たせ!!」
客席から立ち上がりズンズンと音を立てて階段を降りるエンデヴァーを見て会場には沈黙が走る。
「エンデヴァーさん急に”激励”…か?親バカなのね」
「凄……」
緑谷は轟の左から溢れる炎を見て笑みを浮かべる。
「何笑ってんだよ、その怪我で…この状況でお前…イカレてるよ、どうなっても知らねぇぞ」
「ミッドナイト!」
攻撃体勢に入る2人を見てセメントスとミッドナイトが試合を止めに入ろうとする。
「緑谷、ありがとな」
しかし制止は間に合わず2人の個性が衝突。それと同時に大きな衝撃波が客席を襲う。
「何コレェェ!!!」
「これじゃ前見えないよ…!」
あまりの衝撃に目を開けることもままならなくなり目を閉じる。
『っ…!』
「おい!言!前!!」
『えっ何?切島さ…』
しかし切島に大きな声で呼ばれて目を開けるとフィールドから大きな岩が言に向かって飛んできていた。
「言!!!」
(あっ…間に合わない…)
言はもうだめだと咄嗟に目を瞑りただ前方から衝撃が来るのを待った。