第11章 互いが互いのヒーロー
そして瓦礫が大きな音を立てて粉砕する。しかし目を開けると言の体は無事で、目の前には切島が立っていた。
『えっ…』
「言大丈夫か!?」
そんな言の名前を呼ぶ切島の姿を見て言はドクンと胸が跳ねる。
(まただ、この懐かしい気持ち…)
「言!言!大丈夫ですか?!」
フィールドから飛んできた瓦礫が切島に衝突した衝撃で煙がたち視界が悪くなった中、必死に言の名前を呼ぶ百。
『うん、大丈夫だよ百ちゃん。切島さんが助けてくれたから…』
言が瓦礫にぶつかる瞬間に隣の席に座っていた切島が個性を使って助けてくれた。煙が晴れると百は急いで言に駆け寄り何処も怪我していない事を確かめて安堵の表情を浮かべる。
「切島、言!大丈夫か!!」
「2人共!怪我してない!?大丈夫?!」
心配そうに声をかける上鳴と芦戸。怪我がない事を説明すると2人はホッと胸をなで下ろした。
「いやーそれにしても切島カッコよかったね!」
「え?!」
「だってよ切島とっさに言の前に立って瓦礫から助けるとかよ少女漫画かっつうの!」
切島を少しイジる様に話す芦戸と上鳴。そんな2人の話を聞いて言も首を縦に降った。
『うん、カッコよかったよ。ありがとう切島さん』
「お、おう!」
お礼を言われて照れたのか切島は顔を赤くしていそいそと座席に座る。
「緑谷くんと轟くんの試合はどうなったのだ?!」
飯田のその言葉でハッとしたように皆がフィールドの中にあるステージに視線を向けるするとステージ上の煙がどんどんと晴れていく。そこには緑谷がステージ場外の壁に打ちつけられていて壁からズルズルと落ちて倒れる姿が見られた。
「緑谷くん……場外、轟くん…3回戦進出!!」