第11章 互いが互いのヒーロー
『さっきの爆豪さんの距離からならまだしも、客席にいながら上空のアレに気付かずに爆豪さんをブーイングしてたのかしら』
言はそう言ってステージの上空を指さす。そこには爆豪の個性で破壊されたステージの瓦礫が無数に浮かんでいた。
「低姿勢の突進でかっちゃんの打点を下に集中させ続けて蓄えた…そして絶え間ない突進と爆煙で視野を狭めて悟らせなかった」
「アレを1人で考えたのか凄いな!麗日くんは!」
『お茶子ちゃんは…入試の時からずっと凄いよ…』
そう、見ず知らずの緑谷くんが転びそうになった時に助ける優しさ。自分のポイントを犠牲にしてまで緑谷くんを助けようとする行動力。あの日からお茶子ちゃんは凄い。そしてまたあの日から緑谷くんとお茶子ちゃんは互いが互いのヒーローなんだ。
「勝ぁアアァつ!!」
彼女が大きな声で叫ぶのと同時に爆豪に瓦礫の流星群が勢いよく降りかかる。
「そんな捨て身の策を…麗日さん!!」
しかし、そんな捨て身の策が爆豪さんの一撃で粉々に粉砕されてしまう。それでも諦めずに立ち上がり爆豪さんにへと向かうお茶子ちゃん。負けないで欲しいそう願うがそんな私の思いも虚しく彼女は膝から崩れ落ちるようにその場に倒れる。無理やりにでも体を動かし試合を続けようとするお茶子ちゃんの傍にミッドナイト先生が駆け寄り爆豪さんに動かないよう、手で合図を送る。そして───────
「麗日さん…行動不能。二回戦進出爆豪くん!」