第11章 互いが互いのヒーロー
その後、クラスの皆が座っている観客席に向かうとそこには先程まで麗日と話をしていた緑谷と飯田も座っていて、言は飯田の隣の席が空いていたのでそこに腰を下ろす。
「言さん試合お疲れ様!それにしても言さんが個性ちゃんと使うところ初めて見たから僕つい沢山ノートにメモしちゃって…これなんか───…」
緑谷は言に手書きのノートを見せながら止まる気配のないマシンガントークを始める。そんな彼の瞳はキラキラと輝いていた。
「相変わらずだな緑谷くん…」
『まぁ、楽しそうだし』
緑谷を見て飯田はやれやれと困った表情を浮かべる。そしてマイクの合図で試合が開始、麗日は合図と共に爆豪の懐にへと向かって全力で走っていく。
「引くなんて選択肢ないから!」
そして爆豪は自分に向かってくる麗日に一切の躊躇なく大きな一撃をくらわせる。そんな容赦のない爆豪の行動に会場のプロヒーロー達は「女の子相手にマジか」と引き気味に声を漏らしていた。
その後も上着を使い爆豪の攻撃を1度は避けるが彼の反射神経の前にはそんな小細工も意味をなさなかった。
「触れなきゃ発動出来ない麗日の個性あの反射神経にはちょっと分が悪いぞ…」
間髪入れずに爆豪に突進する麗日。何度も何度も爆豪の攻撃を受ける彼女を見て観客の顔は青ざめていく。
「おい!それでもヒーロー志望かよ!!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ!!」
「女の子いたぶって遊んでんじゃねーよ!」
「そーだ!そーだ!」
痺れを切らしたのか会場のとあるプロヒーロー達から怒涛のブーイングが爆豪に投げられる。そんなブーイングを聞いた相澤はマイクを手にする。
「今遊んでるっつたのプロか?何年目だ?シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ帰って転職サイトでも見てろ」
明らかに怒っている声色の相澤がブーイングを口にした彼らにそう告げる。
「ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ手加減も油断も出来ねえんだろうが」