第3章 1年A組
百の身支度に時間が掛かり学校に到着する時間が予定よりも遅れてしまったが、見た限りでは言と百以外の人の姿は見当たらなかったので少し気張っていた心に余裕が出来る。そして目の前に聳え立つ巨大な建物の校門には【雄英高等学校入学式】と書かれた看板が立っていた。
今日から3年間私たちは”ヒーロー”を目指してこの学校で生活していく。
言と百は記念に看板の隣で写真を撮りその後、受付を終えて係の人から渡された地図を頼りに教室にへと向かった。
『いや、教室の扉 大き過ぎない…?』
そして教室の目の前に着くとそこには彼女達の倍は確実にあるであろう扉があった。あまりの大きさに2人は衝撃を受け、言はつい心の中で思っていたことを口に出してしまう。
「これは流石に大きいですわね…」
『ま、まぁ普通に入ればいいよね』
扉の大きさに驚きつつスライド式の扉をガラッと開けると見た目に反してスムーズに動く。教室の中を見渡すと人は何処にも見当たらず一番乗りだったようだ。
『おっ、やったね百ちゃんクラスに1番乗りだよ』
「ええ!計算通りですわ!」
百はそう言いながら右手をギュッと握り小さくガッツポーズをする。朝からなのだが彼女は何故かいつも以上にソワソワと落ち着きがない。そして昨日から気になっていた事を聞いてみた。
『そう言えば百ちゃんなんで今日クラスに1番乗りで行こうなんて言い出したの?』
「えっ!そ、それは…」
言が百に質問を投げかけた途端百の顔は少し赤くなり、5秒ほど手をモジモジとさせた後に耳打ちをした。
「じ、実はですね…」