第10章 双子対決
私はステージを降りて場外に倒れている百ちゃんの傍に急いで駆け寄り、百ちゃんの体に着いている砂や土を払いながら声をかける。
『ゴホッ…百ちゃん、立てる?』
「ええ、大丈夫ですわ」
私が心配そうに眉を寄せると百ちゃんは自力で立ち上がる。しかし彼女の足元はおぼつかなく今にも倒れそうだったので私は百ちゃんの体を支えながら会場を後にして保健室にへと向かう。保健室までの道のりを歩いていると百ちゃんが弱々しく口を開いた。
「言…貴女が私たちと血が繋がっていないという事実を伝えなかった事…本当にごめんなさい」
先程の試合で水を被った百ちゃんは謝罪の言葉を口にしながら体を少し震わせていた。私は気休めでも彼女の体が温まるようにと背中をさすりつつ、黙って話を聞く。
「でも…私は、私たちは例え血が繋がっていなくても貴女を本当の家族と思って過ごしてきたのです。それだけは忘れないで下さいね…」
『うん、大丈夫。ちゃんとわかってる』
嘘偽りのない百ちゃんの言葉に私はゆっくりと瞼を閉じて、くすりと微笑んだ。
保健室の看板が目に入り私は百ちゃんに「もう少しで着くよ」と声をかける。そして保健室の目の前に着くと、先程まで私の肩にあった重みが無くなり百ちゃんに目を向けると先程までおぼつかない足取りだった彼女は回復したのか自力で歩けるようになっていた。
「ありがとう言、後は1人で大丈夫です。貴女はまだ試合が残っているのだから早く体を休めなさい」
まるで私のお母様なんじゃないかとでも言わんばかりの言葉をかけて百ちゃんは保健室の扉を優しく開く。
『私、これからはちゃんと本気出すから!もう二度と手加減するなんてマネしない!だから…私が勝つところ見てて!!』
私は保健室に入ろうとする百ちゃんに向けて大きな声でそう告げた。そんな私の発言を聞いた百ちゃんは一瞬唇をギュッと噛み締める。そしてふわりと花のような笑顔を私に向け「えぇ」と返事をして保健室に入っていった。