第10章 双子対決
崩れた壁は砂のようになってサラサラと風に流されていく。私は目から零れる涙を右腕で拭い、そして自分の両頬を両手で勢いよく叩くとパチンッと大きな音が鳴る。
「やっと壁の中から選手二人が出てきたぞ!待ちくたびれたぜ!!」
「貴女たち!試合は続行するの?」
私と百ちゃんは同時に首を縦に振りミッドナイト先生にこの試合の継続意志がある事を示す。
(まだ、私のやった事は許されないと思う…)
体育祭の前、自分はちゃんとした目標を持っていなかったからしっかりと目標を掲げていたクラスの人達に嫉妬していた。羨ましいと思っていた。挙句の果て騎馬戦の時は”勝つつもりがない”?何て烏滸がましい。自分が本気を出したら皆に勝てるとでも思っていたの??私はこの高校に入学した時から皆よりも一歩、確実に遅れているのに…滑稽だよ。
『仕切り直し…していいかな百ちゃん』
「勿論ですわ」
私たちは互いに背を向けてステージの中央から8m距離を取る。そして目を見つめ大きく深呼吸をして息を吐き終える。
その瞬間──────────
『Rassemblez!Saluez!
(ラッサンブレ・サリューエ)』
私の声が会場中に響き渡る。
「En garde!(アン・ガルド)」
そして百ちゃんの合図で私たちは互いに構え、戦闘態勢に入る。
『「Allez!(アレ)」』
さあ…試合の仕切り直しだ────