第10章 双子対決
『とりあえずは…[壁]!!』
「まず先行は言だ!!」
私はスタートと同時にステージの真ん中にお互いを遮るように壁を出現させる。
『次はショートカット[煙玉]!』
そして追い打ちをかけるように出した煙玉を地面に打ち付け、ステージ一帯は白い煙で覆われて視界が悪くなる。
(とりあえずこれで百ちゃんから私は見えなくなった。それはまた逆も然り、私からも百ちゃんが見えない)
そう私は控え室を出た時から試合が開始するまでの短時間で練り上げた計画を実行している。まず百ちゃんの視界から私を見えなくする。そうすれば私も百ちゃんの姿を確認出来なくなる。そして私が百ちゃんを目視出来ない間に彼女は個性の創造で私を場外に出す物を創造するはず。そして視界が晴れた時、言霊で出した壁を消せばその瞬間に攻撃してくるはずだから私はそれを予想出来なかった”フリ”をして場外に出る。これなら”わざと”負けた様には見えないし私が考え無しに個性を使いカウンターをくらった姉に劣る妹に思われるはず。
(これならいける!あと3秒経ったら視界も晴れる。そしたら壁を消して真正面に思いっきり走る!)
私の予想通り先程煙玉から出た白い煙がじわじわと無くなり、視界が晴れてくる。
『3…2…1…【消去】!!』
私の言葉と共にステージの真ん中にあった壁が一瞬にして消える。私は壁が消えたと同時に百ちゃんの目の前に飛び出そうとするが私はまさかの事態にその足を止め、声をもらし開いた口が塞がらない状態になってしまう。
『……は??』