第10章 双子対決
私は自分を落ち着かせるように1度大きく息を吐き先程の倒してしまったパイプ椅子を元に戻す。
『もう決まったことを考えても仕方ない。試合をどうするか決めなくては…』
今は芦戸さんと常闇さんの試合が始まったばかり2人の相性的にすぐ決着が着くことは無いはずその間にどうやって百ちゃんと対戦するかを、どうやって私が”負けるか”を考えなくては…
だって私は彼女に勝ってはいけない人間なのだから。そして百ちゃんは私に勝たなきゃいけない”そうでなければいけない”。そうでなければ……
「2回戦進出!常闇踏陰ーーー!!」
会場の歓声が地響きを起こす程に盛り上がりミッドナイト先生のアナウンスが入る。私の予想よりも早く試合の決着が着いてしまった。
『嘘!まだ何も…!』
そんな事を言っても時間は止まってくれる訳もなく私は重い足取りでフィールドにへと向かう。
「お待たせしました次はまさかの双子対決!?そして喜べ野郎ども!どっちもべらぼうな美人だぞ!!あなたはどっち派?」
マイク先生の実況に続いて私たちはフィールドの真ん中のステージにへと繋がる階段を登る。しかし足が思うように先にへと進んでくれない。まるで百ちゃんと戦うのを私の体が拒んでいるようだ。
「ヒーロー科を推薦で入学した文武両道少女!!八百万百!」
百ちゃんは組み合わせがが決まった時と同じ、険のある表情でステージにへと上がる。
「そして未だ謎に包まれたクールガール!八百万言!!ちなみに俺はコッチ派!!」
「お前なァ…」
「こまけぇ事は気にするなよイレイザー!」
同じように私もステージの上にへと上がり、普段よりも脈打つ心臓を上から抑えるように左胸にそっと手を当てる。
「さぁ!!始めるぜ、レディSTART!!」
マイク先生の合図で戦いの火蓋が切られた。