第9章 それぞれの覚悟
轟くんが緑谷くんに語った話はあまりに違う世界の話で、ヒーローを目指していてもその理由がこうも違うものかと驚いた。
そしてオールマイト先生との関係を割らない緑谷くんとこれ以上話しても時間の無駄だと感じたのか轟くんは通路の出口に顔を向けた。
「言えないなら別にいい。お前がオールマイトの何であろうと俺は右だけでおまえの上に行く」
緑谷くんに轟くんが「時間を取らせたな」と一言声をかけ立ち去ろうとした時、緑谷くんは一瞬言葉に詰まった表情をしてフラリと足を進めて轟くんの後ろを追う。
「僕は…ずうっと助けられてきたさっきだってそうだ…僕は誰かに救けられてここにいる」
今までの事を思い出すように俯きながら自分の手を見つめる。
「オールマイトようになりたい…その為には1番になるくらい強くなきゃいけない君に比べたらささいな動機かもしれない…でも僕だって負けらんない僕を救けてくれた人たちに応える為にも…!」
俯いた顔を上げて轟くんを見つめる。そしてそんな緑谷くんを見据える轟くん。
「さっき受けた宣戦布告改めて僕からも…」
ギュッと自分の開かれた手を握りしめ冷めた視線を送る轟くんに言い放つ。
「僕も君に勝つ!」