第9章 それぞれの覚悟
「俺の親父はエンデヴァー知ってるだろ」
フレイムヒーロー・エンデヴァー。オールマイト先生に次、万年No.2ヒーロー。そして轟くんは自身のお父さんエンデヴァーの話をつらつらと少し声のトーンを落としながら語る。
「何の話だよ轟くん…僕に…何を言いたいんだ…」
「個性婚知ってるよな」
【個性婚】とは”超常”が発生してから第2~第3世代間で社会問題となった、自身の個性をより強化して継がせる為だけに配偶者を選び結婚を強いる倫理観の欠落した前時代的発想。
そして実績とお金があった彼の父エンデヴァーは轟くんの母の親族を丸め込み彼女の個性を手に入れた。そして子供を授かりオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たそうとしていたらしい。そしてその子供たちの中でオールマイトをも越えるヒーローになりうる子が産まれた。それが轟焦凍。彼は声に怒りや憎しみをのせながら緑谷くんにそのような話を語った。
「うっとうしい…!そんな屑の道具にはならねぇ」
そう吐き捨てながら彼は今でも痛々しく火傷の後が残る左顔面を覆うように手でおさえる。
「記憶の中の母はいつも泣いている…”お前の左側が醜い”と母は俺に煮え湯を浴びせた」
轟くんが緑谷くんにつっかかるのはオールマイト先生に目をかけられている緑谷くんにこの体育祭で勝ち、エンデヴァーを見返す為らしい。
「クソ親父の”個性”なんざなくだって……いや…使わず”1番になる”事で奴を完全否定する」