第8章 障害物の先の騎馬
白熱するステージの隅で私たちは鉄哲さんが手にしているハチマキに視線を集め何とも言えない表情で黙り込んでいた。
『と、とれたね…』
「お、おう…」
私はそんな空気の中、先陣を切って口を開くが彼らからは曖昧な返事が帰ってくる。
「取ってから考えますと中々穢らわしい取り方ですわね…」
「ま、まぁいいじゃないかP取れたんだし…気持ち切り替えていこう…!」
(塩崎さん、一応この策考えたの私だからそこまでズバッと言われると傷つくっ…!)
私は口に手を当てて呟いた塩崎さんの言葉に胸を押える。それに皆の気を使った対応も中々に辛い。
「そ、そうだな!!おらてめぇら!行くぞぉ!」
鉄哲さんの掛け声に私たちはあまり気乗りせずに「お〜…」と拳を作り、その腕を上に掲げる。
騎馬戦も終了目前、私たちは初期ポイントを維持しつつ1000万を狙っていた。といっても今は轟くんが緑谷くんからハチマキを奪い、轟くんチームが1000万のハチマキを所持している。
緑谷くんチームは私たちから逃げたあと轟くんのチームと鉢合わせ、飯田さんの超必技で緑谷くんの1000万を奪われていた。その他にも爆豪さんチームはB組のチームにポイントを全て取られていたが、その後鬼のような形相の爆豪さんが全部奪い返し今は私たちと同じく1000万を狙っている。
そして残り時間20秒────────