第8章 障害物の先の騎馬
最初は勝つつもりなんかなかった。適当なチームに入って必要最低限の役割をこなせばいいと…それで負けたなら万々歳。勝ったなら仕方なしで次の対策をするだけ。でも鉄哲さんが見ず知らずの私をチームに誘ってくれた時とても嬉しかったの。こんな私を必要と言ってくれた。だから彼を…私を受け入れてくれた塩崎さん、骨抜さんを勝たせてあげたい。
(”今回は”いいよね…)
マイク先生の大きなスタートの合図と共に私たちはあるチームの騎馬へと走り出す。そう1000万Pを所持した緑谷くんチームに。
「実質、1000万の争奪戦だ!!!」
ちなみに騎手は鉄哲さん。そして騎馬は私と塩崎さんと骨抜さんだ。
「はっはっはー!!緑谷くんいっただくよー!」
そう言って元気ハツラツな声を上げる葉隠さん。彼らの騎馬を見るとハチマキだけが浮いている状態で、葉隠さんは完全に透明となっているようだった。つまり体操着や下着やら、全ての衣服を脱ぎ捨てて騎手になっているということ…騎手を支える騎馬を担っている耳郎さん・砂糖さん・口田さんは何とも言えない顔で気まずそうに頬を赤らめていた。そして葉隠さんや私たちのチームだけでなく他のチームも緑谷くんチームの1000万P狙いで一斉に駆け出す。
「葉隠さんたちに、B組の…あれ!言さんもいる!?」
「いきなりの襲来とはな……まず2組追われし者の運命…選択しろ緑谷!」
「もちろん!!逃げの一手!!!」
「けっ……!」
骨抜さんが逃げようとする彼らを逃がさまいと個性を使い、緑谷くんチームの騎馬の足を膝下まで地面に沈める。
「沈んでる!あの人の個性か!麗日さん、発目さん!!顔避けて!!」
緑谷くんが背負っている機械のボタンを押すと、足を沈められていた騎馬全員の足が地面から抜け出し上空にへと飛んだ。
「飛んだ!?サポート科のか!止めろぉお!」
『了解!一回手離すよ!!』
「大丈夫です!」
「了解!」