第8章 障害物の先の騎馬
『言霊』
「あ?」
突拍子もなく口にした言葉に彼は口をぽかんと開けて呆然としていた。
『私の個性。口にした言葉を具現化できる個性』
「最高じゃねェか!!!決まりだな、俺は鉄哲徹鐵よろしくな!」
『八百万言、よろしく』
鉄哲さんは私に手を差し出して握手を求め、私もそれに応えるように手を握り返す。そして彼の手を握った瞬間、私はまた懐かしいという感情を抱く。昔にもこんな事があったような…不思議な気持ち。
「しっかしなんでまたぁ、おめェのような使えそうな個性持った奴が余ってんだよ?」
『私、皆の前で個性大きく使ったことなくて。それにボーとしてたらいつの間にか余っちゃって…』
「ボーとしてたらって、A組って嫌な奴ばっかだと思ったけどおめェーみてなやつもいるんだな!ってそんな事言ってる場合じゃねぇか!俺のチーム紹介すっから早く行こうぜ!」
『うん』
私は鉄哲さんに手を引かれ彼のチームメイトが待機している場所に駆けていく。
「さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!よォーし、組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!残虐バトルロワイヤルカウントダウン!」
「3!!」
「いくぞおめェらぁ!!!!」
鉄哲さんの熱が籠った声が響き渡る。
「2!!」
それに返事をする塩崎さんと骨抜さん。そしてそんなB組のメンツに何故か1人混じっているA組の私。この会場のチームの中で1番異色なチームだと思う。
「1…!START!!!」