第8章 障害物の先の騎馬
騎馬戦のチームを決めるための交渉タイムの残り時間もあと僅かになり、終了の時間が差し迫る。それと同時に私は頭を抱えていた。
『う〜ん、困ったな…クラスの皆もうチーム決まっちゃってるよ…』
私は未だに誰ともチームを組めていなかった。もしかしてこのままチームが決まらないと私だけ時間切れで競技に参加をすることも無く敗退決定…?いやいや、例え勝つつもりがないとしても種目に出ないで敗退はまずい。本当にどうしたものかと1人で唸っていると
「おうおう!おめェ確かA組のもんだよな!?」
『?…うん、そうだけど』
この間、教室の前で爆豪さんに突っかかっていたB組の男子に肩を叩かれる。
「…チーム決まってねぇのかよ」
『うん、そうなの』
彼は私が先程から1人フィールドの中で頭を抱えたり唸ったりしている姿を見てチームが決まっていないことを察し声をかけてくれたようだった。
「あ〜、ならよォ俺のチーム入るか?」
『えっ』
「俺らのチーム一応3人はいるんだけどよ3人だとやっぱり騎馬も不安定だし他のチームにも劣っちまう。ちょうどもう1人欲しいと思ってた所なんだよ!あ…だけど個性知らねぇしな…どうするか…」
鉄哲さんが1人で百面相している姿を見て私はどこか彼に懐かしい面影を感じる。
(…何、この感じ…)
私はザワつく胸を片手で押さえながら1度首をブルブルと横に振り気持ちを切り替えB組の人と目線を合わせる。