第8章 障害物の先の騎馬
「実に色々な方がチャンスを掴もうと励んでいますねイレイザーヘッドさん」
「何足とめてんだあのバカ共…」
「さあ先頭は難なくイチ抜けしてんぞ!!」
『轟くん、もうそんな所まで行ってるの』
今の私は先頭の轟くんがギリギリ見える位置。目を凝らして彼を見ると余裕な表情で綱を渡り終える姿が見えた。
「くそがっ!!!」
そして彼に追いつく勢いで爆豪さんが迫る。彼はスタート時よりも調子上げてきているようだった。確か彼の個性は手の汗腺からニトロの様なものを出して着火して爆発させている。そして爆発の威力はその量に比例して大きくなると言っていた、だから汗をかけばかくほどに爆発の威力は大きくなる…いわばスロースターターということなのだろう。
「恐らく兄も見ているのだ…かっこ悪い様は見せられん!!」
飯田さんはバランスを取りやすくするためか両腕を真っ直ぐと並行に伸ばしながら綱の上で個性を使って滑るように渡る。
「カッコ悪イイーー!!!!」
そんなクラスの人が頑張っている姿を見て私はまた1人、取り残された気分になる。
(あぁ、嫌だ…この感情…思い出さないようにしてたのに)
ふとオールマイト先生の言葉を思いだす。
〘常にトップを狙う者とそう出ない者…そのわずかな気持ちの差は社会に出てから大きく響くぞ〙
『……とりあえずこの予選ぐらいは突破しなきゃかな』
私も少し出遅れて先にへと進み始めた。