第10章 住職はやうつつになって
「それによって、私が得る利益(メリット)は?」
「………」
公任はしばし黙った。小屋の中を目だけで見回し、市松模様の着物を発見し、その上には蹲る見覚えのある少年が居た。
陽露華は依然として、瑞雲のされるがまま。前掛けの下で蠢く手が気持ち悪い。
銀邇の刀を握る手が強くなった、その時。
「衆道って、言ったな」
公任は口を開く。
銀邇、瑞雲、意識のある少年らの視線を受けながら、公任は言った。
「俺とか、どう?」
「は?」
銀邇は思わず声が漏れた。
公任は顔面に無邪気な笑顔を貼り付け、瑞雲を見つめる。
「これでも俺、顔立ちは良い方だと自負してるんで。地元では『絶世の美男子』なんて言われて、老若男女問わず人気でねえ」
困っちゃうよねー、と公任はわざとらしく大きく動き、着物の下の肉体美を覗かせる。
「貴方、大人でしょう?」
「………」
瑞雲は手強かった。どうやら特殊趣味(マニアック)らしい。