第25章 番外編 ①:*・゚* 或る風のしらべ *・゚・。*:
「ちょ、ねえ俺は!? 主役は『俺と禰豆子ちゃん』なんですけど!?」
「······」
「無視すんなよおっさんっ!!」
「うるせェ! テメェはとっとと蓄音機の準備でもしてきやがれェ!」
「俺主役なのに!!」
「我妻と禰豆子は祝言を挙げるのか」
「おう冨岡、その話題はとっくに終いだぜ乗り遅れるな」
「あのっ、星乃さん私もなにか手伝いします」
「いいのよ。禰豆子ちゃんは今日の主役なんだから。あ、せっかくだからお土産にいただいたかぼちゃ使わせてもらっちゃおうかな」
「でも、急にこんなことになってしまってご迷惑じゃないですか」
「おめでたいことだもの。私だって嬉しいのよ。そうだ、禰豆子ちゃんさえよかったらまたスミレと遊んであげてくれる?」
「ねずこちゃんねずこちゃん。これみて! 寛元くんがね、おてだまくれたの。スミレのだいすきなおはななの」
スミレが禰豆子の足もとにやってきてお手玉を上に掲げる。
「わあ可愛いね~! 私もお手玉大好きでたくさん作って持ってたんだよ」
「ほんとう!? ねえねえ、ねずこちゃんもあっちでいっしょにあそぼ」
「え···っ」
どうしよう。という思いが禰豆子の胸の内を巡った。
スミレとは遊びたい。玄優や寛元とももっともっと仲良くなりたい。けれど本当に任せきりでいいのだろうか。
そんな禰豆子の思いを察したかのように、星乃はおろおろしている背中に触れて柔らかく微笑んだ。
「禰豆子ちゃん、スミレのことよろしくね」
本当に気にしなくていいのよ。そう眼差しで語りかけると、禰豆子の表情もほっと安堵の色に和らぐ。
禰豆子はスミレに手を引かれ、こっちですよぉ! と手招く須磨のいる場所目指して駆け出した。