第25章 番外編 ①:*・゚* 或る風のしらべ *・゚・。*:
そこへ、小気味良い足取りがいくつもこちらに近づいてくる気配がした。
「よォよォ星乃に不死川! 邪魔するぜ!」
「星乃ちゃーん、こんにちはー!」
「「皆さんもこんにちは」」
「宇髄さん! 須磨ちゃんにまきをさんに雛鶴さんも!」
「不死川は息災か」
「···ァ? 冨岡ァ? いやテメェらまた何しにきやがったァ···!」
宇髄一家と冨岡義勇が揃って姿を現した。
「うわあ、ここもすごく広いお屋敷だなあ」
「お兄ちゃんってば、せっかく持ってきたお土産玄関に忘れていってるよ」
「まってまって禰豆子ちゃん! かぼちゃなんて重いもの禰豆子ちゃんには持たせらんないよ落っことしておみ足に怪我でもしたら大変だよ!」
「あはは、善逸さんてば大袈裟だよ。···え? 持ってくれるの? 大丈夫?」
「このくらいへっちゃらですよ俺にお任せくださいな。というか、伊之助のやついったいどこ行っちゃったんだよ。さっきまで大人しくかぼちゃ担いでついてきてたのに······いや大人しくはなかったけど」
続いて顔を覗かせたのは、炭治郎、禰豆子、善逸だ。
「···あいつらも居やがんのかァ」
実弥はげんなりした面持ちで肩を落とした。
なんの報せもなく宇髄一家が不死川家を訪ねてくるのはもはや珍しいことではなくなった。とはいえ義勇や炭治郎たちをも引き連れてきたのは初めてのことである。
炭治郎は筆まめで、今でも実弥宛に頻繁に手紙をくれる。
実弥は実弥で返事を綴る代わりに時折手土産を持って竈門家を訪ねるが、毎々誰とも会わずに手土産だけを置いて帰ってきてしまうので、こうして彼らと顔を合わせるのは久方ぶりのことだった。
「ほらほら、お前らもそんな場所に突っ立ってねェでこっちに来いよ。遠慮しねぇでくつろげ」
天元は早くも上座に落ち着き我が家のごとく炭治郎らを手招きしている。
「ここはテメェの家かよォ宇髄···って、おい待てェ。冨岡だけやけに全身滝に打たれたみてェになってねェか?」