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はごろも折々、蝉時雨 ( 鬼滅*風夢 )

第25章 番外編 ①:*・゚* 或る風のしらべ *・゚・。*:



 意地悪そうに、それでいて愛おしそうに目尻を下げて星乃を眺める実弥を見ると、星乃も言葉を返せなくなる。

 弱いのだ。

 営みの最中は、普段よりもほんの少しだけ素直な言葉を口にしてくれるところにも。



「も、あまり、見ないで···?」

「生憎だがここからじゃァどこもかしこも目についちまってどうにもならねェ。それはお前もよぉく知ってンだろう」

「っ、」

「···結構な眺めだなァ」

「ゃ」



 唐突な羞恥心に襲われて、星乃は掌で顔面を覆い隠した。

 客観的な自分の姿を想像し、さきほど下から見ていたのと同じ角度で実弥の目に映し出されていると思うと再び寝衣を着直したくなってしまう。

 眺めても眺められても恥ずかしくなるのはいつも自分で、けっきょくのところ実弥の心持ちのほうがゆとりがあることには変わらない。

 "実弥を驚かせる"なんて、やっぱり須磨の言うようにはどうにも上手くいかないらしい。



「星乃、ちぃとばかし前屈みになれるか」

「?」



 言われるまま上体を前に傾ける。

 実弥は星乃の乳房をやわやわと愛撫しながら続けて言った。



「ゆっくりでいい。上下に腰動かしてみなァ」

「こ、う? あっ、ン」

「おー、上手ェじゃねぇかァ」

「実弥は···っ、? ちゃんと、気持ちいい?」

「ああ、すげぇいい」

「ンっ!」



 ご褒美と言わんばかりに先端を優しく摘ままれる。つい大きな声が出てしまったことにハッとし、星乃は隣で眠るスミレを気にした。

 幸い目を覚ます気配はなく、正面に顔を戻せば実弥の悪戯めいた眼差しが星乃を見ている。

 「もう」と小さな声で反発する星乃の前に、実弥の片手が差し出された。

 どちらともなく両手を繋ぎ合わせて一呼吸。星乃は実弥に支えられ、腰部をゆっくりと上下させた。


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