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はごろも折々、蝉時雨 ( 鬼滅*風夢 )

第25章 番外編 ①:*・゚* 或る風のしらべ *・゚・。*:



 実弥から降り注ぐ激しい昂りを浴びながら、しかし負けず劣らず狂おしさに下肢をよじらせている自分を認め、挿入していないのに達してしまうかもしれない恥じらいが星乃の身体を駆け抜けた。

 際限なく実弥を求めてしまえる自分が怖い。

 これ以上はしたない声が出てしまわないよう手の甲で隠した奥歯をぐっと噛み締める。
 


 
 (······でも)




 全身を密着させる安堵感や心地よさとはひと味違う。そんな行為だ。

 なによりここからだと実弥の姿がよく見える。それだけに、快楽に眉間を歪める実弥を思いきり抱きすくめてしまいたくなる。

 愛おしくて、かわいくて、花吹雪のような絶え間ない口づけを贈りたくなる。

 声が枯れ果てるまで愛していると囁き続けていたくなる。

 そんな衝動と切なさが腹の底から沸き上がり、甘美なもどかしさが星乃の身体を一巡りする。

 潜熱は衰えない。とてもふしだらなことをされている自覚はあるのに嫌悪もない。

 実弥だからだ。

 実弥にならば、組み伏せられても辱しめな言葉を耳打ちされてもかまわない。それどころか順応し、密やかな悦びと化してしまうのだから愛欲とは摩訶不思議なものである。

 実弥に倣 (なら) い、星乃は自らの手を乳房の脇にそっと運んだ。

 重なり合う手。指のない箇所にもほわりと生まれるあたたかさ。

 実弥が、星乃に切なげな笑みを返した。













「ッ"──く"、ハ、ァ"!」



 乳房の狭間で蠢くような脹らみを感じたその瞬間、実弥の熱が星乃の中心に放たれる。



「ッ、はァ"、──っ、ァ"」

「ぁ、」



 震える背中を丸めて吐精する実弥を見つめ、たまらずみぞおちがきゅうと鳴く。

 唇に一粒の種が付着した以外はすべての熱が乳房の中に収められ、昇り詰める折でさえ星乃を極力汚さないように努めてくれる彼の心遣いが愛おしかった。



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