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はごろも折々、蝉時雨 ( 鬼滅*風夢 )

第25章 番外編 ①:*・゚* 或る風のしらべ *・゚・。*:



 ふぅぅと息を吐く音が宙を流れる。深い傷痕を残した肩が緩やかに下降する。



「さね、み?」

「星乃······コッチ、借してくんねェか」

「ひゃ···っ、?、?」



 馬乗りするよう緩やかに腰を沈めると、実弥は陰茎を乳房の中心にあてがった。

 邪魔だと言わんばかりに乱れた着流しを脱ぎ捨てる実弥。

 理解が追いつかない様子の星乃をよそに、艶かしい光を纏った肉色の先端からは雄々しい香りが漂っていた。

 今しがたこの手で触れていた陰茎の感触が脳裏を過る。掌の粘液はまだ渇かない。

 視線で実弥の身体を辿れば、鍛え上げられた肉体は健在だ。

 割れた腹筋、厚い胸板、しなやかな肩、逞しい二の腕、突き出した喉仏、太い首。長年鍛え上げてきた身体は鍛練から離れても衰えない。



 ( ······ああ )



 行灯の光に照る身体が眩しかった。

 長い時間直視していられないほどに、今宵も実弥の身体は魅力的だ。



「···ッ、ん」



 口づけの奥で舌が転がる。吸いつき、甘噛み、とろけるような蜜を交わし合ったあと、実弥は必ず愛おしむような眼差しを星乃にたっぷりと注いでくれる。



「······怖ェか」



 互いの吐息がかかる距離から、実弥は静かにそう問うた。

 唇に引いた糸がぷつりと切れてしまい心寂しい。そんな想いが伝播したのか、星乃の髪を実弥がひと撫でしてくれる。



「何度も言うが、俺はお前が本気で嫌がることはしねェ」



 すぐに首を横に振る。この状況に驚きはしたけれど、恐怖はない。



「ううん···。少しも怖くない···。恥ずかしいけれど、なんだかすごくどきどきしてるわ」



 鳩が豆鉄砲を食ったような顔で目を丸くしたあと、実弥は上体を起こし上げ、まぶたを伏せてぼりぼりと頭を掻いた。




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