第25章 番外編 ①:*・゚* 或る風のしらべ *・゚・。*:
「いつも、私ばかりがよくしてもらっているから···私も、実弥のこと、気持ちよくしてあげられたらな···って」
「んなもん······お前が良さそうにしてんのを眺めんのがいいんじゃねェか」
「本当に、それだけで実弥は満足してくれてるの···?」
「たりめェだァ。なんならなァ、愚息なんざブチ込まねぇでもよがってるお前見て抜けんだよ俺ァ」
「ゃ、ゃだもう」
本心だ。
むしろ星乃でなければこの身体は昂らないのだ。春画なども目にしたことはあるものの、よく知りもしない女の裸体を眺めたところでどうともなかった。
そんな実弥の言葉を聞いて、星乃は頬やら耳殻やらを真っ赤に染めてうつむく。
だが決して詭弁ではない。
恥ずべきことだとも思わない。
「なんだよ······やけに食い下がってくんじゃねェか今日はァ」
「ぇ? そ、そんなことないと思うけど」
星乃が大袈裟に首を振る。
それときたらまあ明らかに不自然なのである。
実弥は眼力を鋭くした。
ピンときた。
「···宇髄の嫁かァ」
「っ、や、ちが」
「アイツら見送りに出る間際、須磨とこそこそ話してただろう。何吹き込まれたんだか知らねェが、わかりやすいんだよお前はァ」
「ちがうの実弥、それだけじゃなくて、本当に」
「 "それだけじゃなくてェ"?」
「ぁ、」