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はごろも折々、蝉時雨 ( 鬼滅*風夢 )

第19章 :*・゚* 星月夜に果実は溺れ*・゚・。*:



 逃げるようにさ迷う手を取り、乳房へと導く。

 星乃はいやいやと何度か首を横に振ってみせたが、実弥は問答無用で星乃の指先の腹二つを舌でねぶった。



「ハ、できねェこたァ、ねぇよなァ···? ほらよォ······こうやって、先刻みてぇにしてみろォ···」



 濡らしたそれを尖りに触れさせ表面を撫で回すよう世話をする。つんと主張する先端の感覚は、星乃の指先越しでも実弥にしかと伝わった。

 ぞくぞくと、頭頂が痺れる。まるで、分厚い何かにまるまると鼓膜を覆われているような音しかしない。



「ふ、見ちゃ、や」

「の、割にゃあ、良さそうにヒクついてるぜェ···っ」

「ゃ、や」

「ァ"~···、すげぇ、くる」



 抜かればたちまち駆け上がってくる射精感。

 実弥、実弥と切なげな声で鳴く星乃を前に、実弥は、刻々とたゆんでゆく自我の釣糸にしがみつくような心地でいた。

 しばし整った律動を繰り返す。一変し、結合部からしたる愛液の音を聞かせるように強く打ち付け腰部を回した。
 いささか控えめではあるものの、星乃も実弥の動きに合わせて臀部を浮かせたりくねらせたりする。

 互いの動きが互いの勘どころを刺激して、ひたすら互いを貪ることだけに己の意識を委ねる営みは、動物のそれとなんら変わらないものである。

 ただひとつ、欲動に抗うことのできる人間 (ひと) としての理性的な傍観者の存在が、時折、実弥の喉奥から奪い取った本音を深淵へと沈めてゆくのだ。


 首筋、鎖骨、乳房、みぞおち。


 埋め合わせるように鬱血痕を残しても補えない。



「ハァ、さね、ンゥっ」



 唇を喰らう。


 "足りない"と思う。


 ふいに顔を覗かせる片鱗が、今宵もすぐ傍までやってきている。



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