第19章 :*・゚* 星月夜に果実は溺れ*・゚・。*:
片手を星乃の背に添える実弥と、実弥の首回りに両腕を絡める星乃。
互いで互いを支え合い、星乃を下に、二人はその場におもむろに倒れ込む。
この間 (ま) の天井に灯りはない。
夜の帳が下りてからの行為は二人には珍しいことで、四隅に置かれた行灯の仄暗さを便りに見る互いの表情からは心なしか初々しさが窺えた。
「ここじゃあ痛ぇだろォ···。寝間行くか?」
「ううん······平気よ。ここでいい」
首を振り、眼前でうねる実弥の喉仏に思わず指先を滑らせる。すりすりと撫で上げながら、実弥のここ、好きだなあと思う。なぜ星乃が喉もとに触れているのかわかっていない様相で、何だよ? と笑いかけてくれる実弥にまた胸の奥が絞られる。
星乃は少々躊躇いつつも、もう片方の手で実弥の腰紐を遠慮がちにほどきはじめた。
「ほぉ······どうしたァ······? 今日は随分と欲しがるじゃねぇかァ」
意外そうな、それでいて好奇心に満ちたような眼差しに、恥じらいながら微笑み返す。
寝間はこの間のすぐ奥だ。普段ならばそちらへ行く選択をしたに違いない。実弥の腰紐に自らの手を掛けることもない。
けれど、今夜はなぜか寝間までの道のりが無性に遠く感じるし、すべてを実弥に任せてしまうことが惜しいと思う。
一刻もはやく実弥に触れたい。どちらのものかわからなくなるぐらいの吐息を交え、体温を重ねたい。
抗えない欲求が、絶えず吹き出す湧き水のように途切れることなく押し上がってくる。
これも酒のせいだと言ってしまえばいいのだろうか。
わからない。
本当はどこかでずっとこうしてみたかったのかもしれない。
とてつもなく高揚している自分に気づく。
まだ触れられてもいないのに、秘所の奥からぷくりと蜜が膨れてきていることだけはわかった。