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はごろも折々、蝉時雨 ( 鬼滅*風夢 )

第16章 :*・゚* くちびるにスミレ *・゚・。*:



 輪郭から首筋。首筋から肩。
 実弥の手が肌の表面を緩やかに移動する。

 肩からシャツが滑り落ちてゆく途中、星乃は実弥の胸もとに両手を添えた。



「実弥も、全部、脱いでほしいわ」

「そりゃあ構わねぇが······何だァ、見てェのかァ?」



 実弥が挑発するような笑みを浮かべてみせたので、星乃は顔面を爆発させた。


 
「そ、そういうわけじゃなくて···っ、私ばかりは恥ずかしいから···っ」



 まるべ私が助平みたいに······!

 冗談めかした言葉を受け流すゆとりなど星乃にはあるはずもなく、泡を食って否定する星乃をよそに、実弥はわかったわかったと口にしながらしれっと上衣を脱ぎ出した。

 その間、ぼうっと寝転んでいるのも手持ち無沙汰で、おもむろに上体を起こした星乃は自らの手でシャツを取り払った。



「そういやァ、お前今日は晒巻き付けてねェんだなァ」



 胴締めに手をかけた実弥の横目が星乃を捉える。反射的に、星乃は脱いだシャツで体躯の前面をそっと隠した。

 触れられていなくても、改まった状態で実弥に裸を見られるのはやはりまだ恥ずかしい。



「あ···あれはね、洋装下着なの」

「洋装···? 乳バンドってやつかァ?」

「それは私もいくつか持っているのだけれど、なんとなく晒のほうが安心であまり使っていなかったの。今日のものはしのぶちゃんが街で仕入れてきたものでね、試してみてほしいって言われて」

「···胡蝶はそんなもんまで仕入れてんのかよ」

「隊の女の子たちの身体に少しでも負担のないものを···って考えてくれているのよ。しのぶちゃんには頭が下がるわ」



 しのぶから貰った洋装下着は、星乃がもともと持っている飾り気のないものとは何もかもが異なっていた。

 西洋から海を渡ってきたのだと一目でわかる繊細なレースが散りばめられており、差し出された瞬間思わず「可愛い」と声を上げてしまったほどだ。

 前身頃の中央で取り外し可能な仕様になっていて、肩紐もなく着脱もしやすいうえ着け心地も良い。

 気にしていた胸の膨らみもしっかりと抑えてくれるので、早速しのぶに頼んで幾つか購入してみようと考えていた。


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