第16章 :*･ﾟ* くちびるにスミレ *･ﾟ･｡*:

　朧気な意識の中、星乃は愛液がとろりと臀部まで流れてゆく感覚に自ずと蜜壷を締め上げた。



「はぁ、ン、ぁ···！」



　実弥の舌が再び秘所を這い回る。



「や、今、だめ···ぇ」

「ハ···、何が、駄目だってェ···？　二本、一気に飲み込んじまいやがってよォ···っ」

「は、ぁ、ぁん···っ」



　同時に骨張った二本の指が膣口から挿入される。奥を掻き回されても腰が浮き、膣口付近の浅い場所をくすぐられても下肢が震えた。

　器用に蠢く実弥の指先には第三の眼でも付いているのではないだろうか、などと荒唐無稽 (こうとうむけい) な思考に陥ってしまうほど、実弥の指は的確に、しかと良い場所に狙いを定め、ありとあらゆる箇所に隠れて存在する星乃の欲情の芽をあっさりと見つけ出してしまうのだ。



「ま、まって···っ、実弥···ッ、」

「ァア？　どうしたァ」

「これ、違···っ、さっきと」



　唐突に、また別の (ような)、しかし既に覚えのある感覚が押し寄せてきたことに、星乃は思わず狼狽した。

　甘美な波に混じってやってきた別のそれは、日々の生理現象のうちのひとつに似ていた。

　かろうじて機能している星乃の意識の片隅で、このままでは大変な失態を犯してしまうという防衛本能が働く。



「で、でちゃい、そう···っ、なの···っ」



　掌で真っ赤な顔を覆って小声を漏らした星乃に対し、しかし実弥はなにかを察したような口調で星乃にこう促した。



「ァー···、星乃」

「···っ、実弥···お願···っ」

「大丈夫だから、そのままこい」

「や、？　やだ、だめ、だめぇ···っ、───っんん···ッ！」