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はごろも折々、蝉時雨 ( 鬼滅*風夢 )

第14章 :*・゚* 桃色時雨 *・゚・。*:



 混じる。眩む。焦熱が浮遊している。

 見上げた先の格天井がぐらりと歪み、恍惚とも、物恐ろしさともとれる漣 (さざなみ) が星乃の背面を膨れ上がらせた。



「ぁ、ァ、────っぁあ…っ!」



 星乃は喉奥を開け放ち、何度か下肢を痙攣させて頂の線を跨いだ。

 星乃のそれを見届けてすぐ、実弥にも限界が訪れる。



「ァ"、···ッ、出す、ぞ」

「や、ぁ······ま、っだ」



 涙に濡れる頬の傍らへ両手をつくと、実弥は上肢を真っ直ぐ伸ばして激しく腰を打ちつけた。

 これまで、頭の中で何度も星乃を抱いてきた。乱れる姿を思い描いて、己自身を慰めた。

 他の女に恋情は抱けなかった。自慰の対象にもならなかった。興味もなかった。

 星乃だけだ。

 至極心を揺さぶられるのは、生涯でただ一人。



 ───星乃だけ。




「く、─ッ"──ァ"ァ"ッ」

「ぁあッ···っ!」



 陰茎を膣口から素早く抜き去る。
 吐き出した白濁が、星乃の腹の上に飛び散った。











 実弥のそれはあたたかな飛沫だった。
 肩で小さく息をしながら、星乃は宙の一点をぼんやり見つめた。

 下肢が小刻みに痙攣している。脱力感も相まって、すぐに起き上がることは難しいと感じた。

 障子紙に透ける外の光がいくらか陰りを帯びている。

 実弥は今、どんな気持ちでいるのだろう。どんな表情をしているだろう。知りたいのに、涙で阻まれよく見えない。

 腹に無意識に手をやると、ぬるりとしたものが指に絡んだ。すると、実弥の「オイ」という慌て声がした。



「触るんじゃねえ、待ってろ、今拭ってやる」

「あ···」



 ドロリとした白い体液を眼前に翳して見つめる。これが実弥のものだと思うと、とても愛しいものに思えてしまうから不思議なものだ。

 そんな余韻に浸っていると、白濁で汚れた手を実弥に掴まれ、ひたいに唇が落とされた。



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