第14章 :*・゚* 桃色時雨 *・゚・。*:
なぜか、怒られてしまった。けれど気持ちが止まらなかった。
ひとつになる間際まで、懸命に苦悶に耐える実弥の姿にたまらなく胸を締めつけられる。そう正直に口にしたら、また怒られてしまうかもしれないけれど。
心の中だけにはとてもおさめておけそうになかった。
愛おしさを、伝えずにはいられなかった。
「······優しく、してやりてぇんだよ」
星乃の目尻に溜まった涙を、実弥の親指がそっと拭う。
実弥は気づいていないだけなのだ。
今、星乃を見つめるその眼差しが、どれほどの優しさで満ちているのか。
星乃は、応えるように実弥の頬へ手を添えた。
「実弥だから、触れてほしいと、思ったのよ···。だから、好きにして、いいの···。我慢なんて、しないで」
「···ハ、」
熱の籠った吐息を放ち、実弥は続ける。
「俺がァ、これまで、どんだけ我慢してきたと、思ってやがる···。こんなもん、我慢のうちに入るかよォ···」
実弥のそれは、半分本音で、半分は虚勢だった。
ただ、星乃につらい過去は思い出させたくない。自分が満足するよりも、星乃を悦ばせてやりたい。その気持ちが優っていることは確かだった。
「···力、抜けよォ」
ぐ、と膣口に陰茎が押しつけられる。
目視せずとも、実弥は間違いのない場所へ確実に先端を埋めてくる。
「、ッ"」
「──ぁぁ、ァ」
ゆっくりと、時に押し出されそうになりながら、それは肉壁へと沈んでいった。
「ァ、ア···っ!」
「ハ、上手ぇこと、力、抜けたじゃねぇか···っ、」
「ァ、はぁ···ァ、さね、み···ぃ」
「ぁ"ー、オシヨシ、無理だけは、すんなよォ」
実弥のすべてが奥まで沈みきったのを、身体全部で受け止める。伴った痛みは次第に馴染み、呼吸するたび心が蜜に濡れるような心地を覚えた。
愛しいひとと繋がっているのだという紛れもない感覚は、身体だけではない深い場所までもを星乃を幸福で満たしてくれる。
「は、星乃···」
「ん、っ」
実弥に名前を呼ばれるだけで、星乃のこめかみはじんと痺れた。