第14章 :*・゚* 桃色時雨 *・゚・。*:
浅い口づけを繰り返す。
ひたいから後ろ髪へ毛を梳くように、実弥は何度も星乃の頭を優しく撫でた。
仔猫を扱うようなその振る舞いは、達したばかりでふわふわする星乃をよりふわふわさせてくる。
「───ぁ、」
ツン、と、陰茎の先端が秘所に密着した。
「ふ、ァ、っ」
蕾に亀頭が押しつけられる。
再びあのおかしな感覚に襲われて、星乃は腰をくねらせた。
隠れていただろうはずの蕾がめくれ、今や固く存在を主張しているのがわかる。
滑ったり、擦ったり、実弥の腰がゆらりと濫 (みだ) りがわしい動きをするたび、星乃の耳は淫靡な水音で濡れ、加速してゆく羞恥心が脳を隅々まで火照らせた。
( っ、こんな··· )
恥ずかしかった。恥ずかしくて、自然と双眸から涙が零れた。
それなのに、この感覚を、次第に心と身体が官能として受け入れはじめている。そう実感している。
双眸を閉ざした実弥は眉間に深い皺を刻み、時折苦しげな吐息を漏らす。
( ···っ、もしか···して )
まだ、堪えてくれているのだろうか。
秘所を滑る実弥のそれは、もういつ挿入してきてもおかしくない昂りを感じさせるのに、なかなか境界を越えてこない。
膣口付近の浅い場所まで訪れてはくるものの、またすぐに去ってしまう。
( ······ああ )
星乃は無性に実弥を強く抱きしめたい想いに駆られた。
もしかしたら、実弥がまた知らない男のひとに見えてしまう瞬間があるかもしれないと、心のどこかで構えていたのかもしれない。
例えそうだったとしても、実弥を受け入れる覚悟は出来ていたけれど。
すべてが杞憂 (きゆう) に過ぎなかった。
『どうなっても、知らねぇからなァ』
あんなことを言ってみせても、
実弥は実弥だ──…。
「っ、実、弥······すき」
「ッ、ハ」
「好きよ···。だいすき」
「っ、バ···ッ、カやろうがァ······これから···っ、ハ、ぶち込むっつぅ時に···っ、んなことを、ぬかすんじゃ、ねえ」