第14章 :*・゚* 桃色時雨 *・゚・。*:
星乃の体躯は柔らかく、やはりほのかに蝋梅の香気がしていた。
馴染みのある香りに深々と沈んでゆきながら、生涯掴むことはないと思っていた女の心と身体に触れている。
眩暈すら起こしかけている自分を今一度嘲 (あざけ) って、実弥は膨らみに片方の手を添えた。
掌が膨らみに重なると、既に中央が小さく突起しているのがわかる。
晒をほどきながら昔話をしてみせたのは、わずかでもこの昂りを鎮められたらと思ったが故の、無意識の振舞いだろうか。だとしても大した効果は得られないまま、実弥の視界に映り込む星乃の双丘はあまりにも美しく、そしてひどく官能的だった。
「ぁ、」
下から上へ持ち上げるように、やわやわと乳房を揉みほぐす。掌に吸い付くような、それでいて自由自在に形を変えてゆく感触に、実弥の局部は一層疼きを増していった。
指の腹で乳房の突起を撫で回すと、先刻よりいっそう大きな甘声が星乃の口から飛び出す。
愛らしい声、してんなァ。
そんな想いが実弥の心髄をふわりとくすぐる。
もっと星乃の甘声を引き出したくて、鎖骨から乳房に唇を滑らせながら、もうひとつの丘の突起も同じように撫で回してやる。
「ぁ、さね、み···っ、や」
捩れた身体もお構いなしに、先端を口の中へと含ませる。吸いつき、転がし、たっぷりと、ねっとりと、突起周辺の薄紅の輪も、飴玉を、じっくりゆっくり溶かしてゆくように堪能する。
「ふ、ゃ···っ、そんな風にされたら、恥ずかし···っ」
「なにが、だ、」
「声、とか、でちゃ」
「その、声が···っ、ハ···ッ、聞きてぇんだよ、俺ァ···っ」
「きゃ、ぅ」
星乃の襦袢は腰紐が結ばれたままの状態で繋がっていた。上体と下肢だけが、丸々あらわになっている。
これまで見てきたどの星乃の姿とも違う、乱れた風姿だ。