第13章 過ぎ来し方、草いきれ
『ぃ"······っ』
あまりの激痛に耐えきれず、星乃は両足をばたつかせた。それを抑制するように、清二の腕が星乃の足を抱え込む。
『ぁぁ······すごい······』
『ぅ、ぅ···っ、や』
『いい······いい······』
『ぅ、ぅ"ぁ"、っ』
清二は星乃にかまうことなく、無我夢中でへこへこと腰を動かし続ける。
これは、夢だ。ただの悪い夢なのだ。
星乃は、このおぞましい行為がはやく終わることをひたすら願った。
ずいぶんと長い時間に感じられた。
清二はひどく興奮した息遣いになり、秘所から一気に男根を引く抜くと、星乃の腹の上に我欲を散らせたのだった。
すまない······すまない······。
種を放つ清二の姿が視界の片隅でぼやけ続ける。
謝るくらいなら、どうしてこんなことをするのだろう。
清二がそそくさと寝間を去って行ったあと、星乃はしばらく夜の衣を乱したまま布団の上で放心していた。
障子から射す月光がのんびりと濃くなってゆく。
リリリリ、と鳴く、初夏の虫の声がひどく耳に障った。