第11章 律呂の戯れ
アオイたちに代わり自分が天元についていけば事は丸くおさまる。だが星乃には明日から別の任務の指令がでている。
断れば、この子たちは強制的に任務へ同行せざるを得なくなる···?
鴉へ言付けを頼もうか。急遽天元と任務を共にしたい旨を希望し、耀哉からの許可が下りればどうにかならないこともない。
「···わかりました。ひとまず任務内容などを詳しくお聞かせ願えますか。なので、その二人を離してあげてください」
「お、聞き分けがいいねえ。そういうことなら」
「悪ィがそいつはテメェのとこへは行かせらんねェなァ」
「不死川?」
天元の表情に温かみが生まれたのも束の間のこと。背後から、耳に馴染んだ声が聞こえた。
屋敷の庭を抜けてくる実弥を見ながら、「なんだ、お前ら知り合いか?」と言い終えたあと、天元はなにかを察したように再び星乃へと視線を戻した。
「···あ~、なるほどな。どっかで聞いたことある名だとは思っちゃいたが、甲の飛鳥井ね、はいはい、思い出したわ」
ふ~ん。へ~え。
意味ありげにしたり顔を浮かべる天元の傍らで、星乃は久方ぶりに見る実弥の無事が確認できたことにほっと胸を撫で下ろす。
「まあ聞け不死川。それとこれとは話が別だ。今回は俺が個人的に彼女の手を借りたい。早急なんだよ」
「駄目だ」
「···んな!? 人が下手にでてりゃお前! 飛鳥井はお前の継子でもなんでもねぇだろ!? だったらとやかく言わねぇで協力しろよ! つうか、前から言おうと思っちゃいたが俺はオメェより柱歴長ぇんだかんな!? 敬え!!」
「つべこべうるせぇなァ、そいつにゃァ別の任務があんだよ」
「はあ? なんだよそうなのか?」
「でも実弥、この子たちを無理矢理音柱様のところへ行かせるのはもっと駄目よ。私なら、お館様に頼んで任務を変更してもらうことだって」
「いいからお前は黙ってろ」
「···はい」
「そういうことだァ宇髄、諦めて別を探すか、大人しくテメェ一人で向かうこったなァ」