第2章 第二章 刃、鋭く玲瓏に
「そうだ。芹に会わせたい子がいるんだ。」
「・・・・?」
自分を指差して首を傾げる。
「白珠殿に子が生まれたんだよ。とても綺麗な黒羽の子だったよ」
「・・・!!」
諸手を挙げて、ピョンピョンとその場で飛び跳ねる。大いに喜んでいる。手を取ってやり案内する。
庭の隅にある小屋が目当ての場所だ。音を立てない様に扉を開ける。
カァークァー・・・かぁー・・カー
其処は烏の巣である。昔から我が家には烏が集まる。
死の匂いがするのか、ただの気まぐれなのかは分からない。
元々、貴族として宮中で鷹司をしていた名残か、一族はこの同居鳥を快く受け入れて、いつの間にやら伝書鳥として活用している。財政難でインコや鸚鵡を飼う余裕が無かったのもある食べ物に拘らないという所も魅力的だ。
芹はゆっくりと目当ての烏に近づく。
クルル・・・クルル・・・
暫くすると小さな甘え声が聞こえてくる。自分や他の者では中々こうはいかない。
というのも、この目当ての白珠殿の見た目が原因でもあった。
その名の通り、この烏、羽の部分が所々白く、マダラ模様に見える。その上、怪我をしてこの屋敷の前に落ちていた為、皆、気味悪がったのだ。
芹が引き取ると言っていたのだが、任せる訳にもいかず此処で面倒を見ることにしてるが、彼女以外に決して懐かない子だ。
芹がこちらを見ている。
「どうしたの?」
白珠殿を指差し、もう一羽一番高い所に止まってる烏を指差す。
どうやら番らしい。
それから生まれたばかりの雛を掌に乗せてから此方へと歩いていき輝昭にみせる。
「可愛いね。・・・うん?なに?名前?僕がつけるの」
コックン。白珠殿が芹の肩に乗る。白珠殿を指差し自分を指差してから、今度は輝昭を指差し、雛烏を指差す。
「考えておく、そろそろ部屋に戻ろう?」
手を招き促す。芹は両手で抱えていた雛を懐と片手で包んでから手を取る。
指先は火傷の跡で少しざらついているがとても暖かく心地よかった。