第8章 夢蟲の加護
薄目を開けると、木の天井と優しい色の照明が見えた。
……俺はベッドに寝かされてるのか。
身体を起こそうとしたら、全身に激痛が駆け巡った。
「——————!!!」
声にならない叫びに、アオネさんが心配そうに顔を覗いてきた。
「俺、さっき、何が」
言葉に要領を得ず、言いたい事が言えない。
アオネさんは小さく、待ってて、と言い残して部屋を出て行った。
しばらくして、複数人の足音が部屋に近付いて来た。扉が開かれて入って来た人の数は、4人。
アオネさんと、イワイズミさんと、
「か、カゲヤマ!?」
見覚えのある鋭い目つきの弓使い。俺の顔を覗いて口を開けた。
「元気そうだな」
「どこがだ!全身痛ぇんだよ!」
「元気そうだな」
コイツ、同じことしか言わねぇ……!
そして、もう1人。
「えっと、あんま叫ばない方が、いいよ……?」
「だれ?」
俺を心配する、白いローブの金髪の男の子。見た目はアオネさんと同い年くらいだ。
「俺は、コヅメ ケンマ」
「コヅメさん?俺はヒナタ ショウヨウ!」
「ケンマでいいよ。そういう年上扱いは、好きじゃない」
ケンマの目が忙しない。さっきから俺と目が合わないし。シャイなのかな?
俺はアオネさんに手伝ってもらって、枕を背もたれにベッドで上半身を起こした。全身ビリビリして痛い。
アオネさんはベッドのすぐ横のスツールに座った。イワイズミさんは隣のベッドに腰掛けて、カゲヤマとケンマは立ったまま。
「コヅメ、ヒナタの容態を話してやってくれないか?」
イワイズミさんに促されて、ケンマはゆっくりと、しかしはっきりと話し出す。
「上級の雷魔法を受けて、全身麻痺してる。話せるのが奇跡なぐらい、強い魔法で、効果も持続性がある。治療しても、人によっては後遺症が残るけど、たぶんショウヨウは大丈夫」
「そうなの!?」
「うん。応急処置は俺がしたけど、ちゃんと治すには、病院に行くのが望ましい。けど、この村には、魔法による怪我の治療が出来る、専門医が居なくて、ここでは無理」
「どこに行けば治るの?」
俺の質問に、ケンマは一呼吸入れて答えた。