第14章 航海
「こんな形(なり)してるから、同業者だとすぐバレちまって、勝手に闘争心燃やされて、ちょっと疲れた」
イワイズミさんは困ったように笑った。カゲヤマもどことなくうんざりしたような雰囲気がある。
俺は何と無く話題を変えたくて、ケンマに話を振った。
「そういえばケンマ。ケンマはこれからどうするの?」
「え?」
イワイズミさんがきょとんとした。
ケンマは口に手を当てて少し考える。
「そうだね。俺はショウヨウの回復のために同行していたわけだし。元気になった今、同行する義理がないからね」
俺の言いたかったことを全部言ってくれた。
イワイズミさんも思い出したかのように、拳と掌をぽんと合わせていた。
ケンマはさらにこう続ける。
「ずっと言ってなかったけど、俺、人を探してるんだ。ある日突然消えちゃった大事な幼馴染」
俺、イワイズミさん、カゲヤマはケンマの次の言葉を静かに待つ。
「その気配を辿って、扇南村に行った。そしたら、君たちに会った。……これは俺の勝手な予想なんだけど、君たちと行動を共にすれば、幼馴染と会える気がするんだ」
「ケンマがそう思うなら、きっとそうだよ」
俺が笑いかけると、ケンマも口の端を持ち上げた。
「改めてよろしくね!ケンマ!」
「よろしく、ショウヨウ。イワイズミとカゲヤマも」
イワイズミさんとカゲヤマも快い返事を返した。
後から知ったことだけど、アオネさんはこの時、イワイズミさんたちの言っていた冒険者たちに囲まれて、力比べをしてたらしい。
本人曰く、そこそこ良い成績を残せたそうな。
船は何事もなく予定通りに出港し、妖精の大陸へと航路を進む。
これから先、俺の想像を超える出会いがあるんだと思うと、ちょっとワクワクしてきた。