第7章 赤いローブの襲撃
「×××××」
鎮火された。
イワイズミさんの、水を纏った剣によって。
「イワイズミさん!!」
「ヒナタ、お前じゃ相手が悪い。アオネとケットシーの数を減らせ。コイツは……俺がやる!」
「イワイズミさん!!」
「×××××」
走り出したイワイズミさんの剣が雷を帯びて、クロオの両手とぶつかった。ぶつかる度に稲妻が散って、皮膚がピリピリする。
「急げ!!」
「はいっ!!」
俺はイワイズミさんに背を向けて走り出す。
早速、杖でホッピングしながら近付いてきたケットシーに剣を振り下ろすが、ゴブリンの様にすぐ倒れない。
「くそっ!」
もう一度斬りつけるが「同じ手は食わない」と言うように、しなやかに躱され、剣を走って来て俺の顔面を杖で殴りつける。
「ぐべぇ!!」
結構痛い……!!
体勢を立て直して、ケタケタ笑ってる頭を切り落とす。コインは落とさずに消滅した。
またホッピングしながら近付いて来る、別のケットシーの頭を狙って剣を振る。
避けたソイツは両足を失くしたが、両手で持つ杖で跳躍して、俺の顔面に落ちて来る。
「せいっ!」
股を裂いて胴体を切ったら消滅した。コインは落とさない。
「クッソ!多い!」
1体に2撃以上当てないと消えないし多いし。クロオは何体出したんだ?
「精が出るねぇ〜」
「!?」
いつの間にか背後にクロオが立っていた。
俺はケットシーを薙ぎ払った勢いのまま振り返って、クロオに剣を振るも、一歩の後退りで躱された。
「イワイズミさんは!?」
「イワイズミ……ああ、彼はなかなかの手練れだったから逃げてきた。弱点ばっかついてきて、嫌んなっちゃう」
「戦いって、そういうもんだろ!」
剣を突き出すがクロオはヒラリと躱し、俺の剣に触れようとして
バチンッ
黒い火花が散った。
「へぇー……あの噂はホントだったんだ」
クロオは意味ありげに口の端を持ち上げた。その顔はとても不気味で嫌だ。
クロオが何か言おうと口を開けたが、出てきたのは変な悲鳴だった。
クロオは振り向きざまに火のボールを放ち、村の木に引火した。
「お前何して……」
俺はクロオの背中を見て、言葉が止まった。見たことのある矢が刺さってる。
燃える木から降りてきた人は、2本目を放つ。今度はクロオの左肩に中った。
「ヒーローは遅れてやって来るってか!」