第7章 赤いローブの襲撃
「イワイズミさん!!アオネさん!!」
俺の悲鳴でイワイズミさんは起きた。アオネさんが立ち上がって、集まっていた小動物が一斉に逃げる。
「何事だ!?」
「南です!!」
イワイズミさんが駆け寄ってきて、俺の指す方を見やる。
俺が指す空が少しずつ黒くなって、扇南村全体を覆う。
突然暗くなった事に気付いた村人達が、建物から出て来た。
俺は本能的に剣を構え直した。イワイズミさんも剣を抜く。アオネさんの纏う空気が変わった。
轟々と唸りながら強風が吹く。
すごく、すごく嫌な気配。
俺は剣を持つ両手に力を入れると、空から声が響いて聞こえてきた。
「見ぃーつっけたぁー」
聞いたことのない声。禍々しい空気は魔王と似てるけど、声は別物だ。
ふわり。空から“赤いローブ”が舞い降りた。
右目を隠す黒髪に2本の曲がった角が生えている。
白いブーツが地に着いた。
彼は右手を胸に当て、左手を後ろに回して恭しくお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。勇者とその御一行様。私はクロオ。魔王サマの従順なる……なんでもいいや」
なんでもいいんかい。
「本日は勇者とその御一行様の、力量をお測り致したく馳せ参じました」
イワイズミさんの顔が険しくなった。
「覚悟!!!」
クロオの一声で、猫型の魔物が村の至る所に出現した。シルクハットを被って杖をついた2足歩行の黒猫。
「ケットシーだ!!全員建物に入れ!!」
イワイズミさんの声が村によく響いた。聞こえた村人達は建物に入ったが、聞こえなかった村人達はケットシーに襲われ始めてる。
「あひゃひゃひゃひゃっ!!!」
クロオが愉快そうに笑い出した。
俺は気付いたら走り出してて、クロオに剣を振り下ろして、両手に挟まれて防がれた。
「真剣白刃取り、つってな」
「今すぐ退け!」
「い・や!魔王サマ直々のご命令だぜ?戦果なしに、のこのこ帰れないって、の!」
「わっ!」
クロオに剣を弾き飛ばされて後ずさる。
「××××××××××」
クロオが両手で炎のボールを作って、バレーボールくらいのそれを複数飛ばしてきた。
剣で切って払うが、1個逃した。
逃したそれが目の前に来て、