第7章 赤いローブの襲撃
俺達は日の出と同時に起きる。
朝の鍛錬の後、携帯食料の朝食を食べ、テントと寝袋を片付ける。
空き地から人が使った痕跡を消して、扇南村へ向けて歩き出す。
「道が結構、整備されてますね」
歩き易いし、見晴らしも良くて、襲ってくる魔物がよく見える。
「そりゃな。扇南村の車輪は物がいいから、色んな村や町から人が来て、近辺の道は自然と整備されちまう」
「すげー」
「烏野村にも、そういうの無かったか?俺はあんまり聞いたことねぇんだ」
「えーと……」
烏野村の、製品で、売れてたやつ……?
「や、野菜?」
「どの野菜だ?」
「わ、わかりません……」
「そうか。なんかすまん」
「はい!いいえ!」
「どっちだよ」
イワイズミさんは笑ってくれたけど、マジで何も思いつかねぇ!
アオネさんを見てみたけど、小さく首を振られた。
俺が野菜って言ったのは、キノシタさんが魔物に売りに出かけてるから。
……魔物には、売れてたけど、人には売れなかった?
いや、もしかしたら、魔物に売る事が出来ても、人に売る事が出来なかったってのもあり得る。
じゃあ、人に売る事が出来なかった理由は?
烏野村を訪れる旅人は少なくないけど、宿でも普通に野菜を食べてくれてた。
村の売り上げの話、聞かなかったからな……。
「おーい?ヒナタ?」
「は!」
「どうした?ボーッとして」
「あ、いや、なんでもありません!」
「そうか?」
イワイズミさんに心配かけてしまった!
しばらく道なりに歩いて行くと、ちょっと高い丘に出た。
あまり見晴らしは良くないけど、空がよく見える。ここで一息入れる事にした。
俺が水筒の水を飲んでいると、アオネさんが何かを見つけて指してる。
イワイズミさんがそちらを見て
「アレ、扇南村だ!アオネ、良く見つけたな!」
いやいや、イワイズミさんもよく見えますね!?俺全然見えないんですけど!?
「ど、どこですか?」
「ほらあそこだ。ざっと1km先の…」
「2人共目ェ良いですね!!全然見えないんですけど!?」
「なんでキレ気味なんだ?」
イワイズミさんに教えてもらっても、1km先なんて肉眼で見えるかぁ!!
アオネさんは興味が逸れたのか、黙って水を飲んでいた。