第7章 赤いローブの襲撃
「伊達街って遠いんですね」
「この距離だと……1ヶ月か?」
「えぇ!?馬!馬買いましょう!」
「そんな金ねぇって」
林の中で偶然見つけた空き地に、簡易テントを張って、焚き火を3人で囲む。地図を広げて、現在地と目的地の確認をしていた。
「伊達街から烏野村に行く道は、直線距離でも徒歩で20日はかかる。王都から伊達街に行く道は、烏野村よりは比較的近いが、道があまり整備されてない。土砂崩れとかで地形が変わってたら、この地図は役に立たん」
「そんなぁ!」
イワイズミさんが地図を指して、説明してくれた。
伊達街は、大きな崖の上にできた工業都市だ。伊達街の位置は変わらずとも、道中は地割れや風化、土砂崩れとかで日に日に地形が変わっているそうだ。なんか、研究とか実験とかの影響らしいけど、何作ってんだろ?
「でも、雪ヶ丘村には近かったんだよね?」
俺がアオネさんに聞くと、「当時は」と返ってきた。
つまり「今は」わからないということ。
「詰んだな」
「詰みましたね」
イワイズミさんは空を見上げた。星は何も語らずに輝いている。
俺は携帯食料を貪った。粘土みたいなコレはあまり美味しくない。アズマネさんから貰ったの、いつ食べよう?
アオネさんはテントの中で寝袋の準備を始める。
イワイズミさんが、何か思い出したかのように地図を手に取って、指でなぞり始めた。
「あった!」
イワイズミさんの声に、俺は携帯食料を咀嚼するのを止め、アオネさんはテントから出てきた。
「あった!ここなら明日か明後日には着く!」
「どこですか?」
イワイズミさんは地図の一点を指して、俺とアオネさんに見えるように広げる。
「扇南村だ!」